WENTZ BOOK REVIEW 19 「ザリガニの鳴くところ」
2024.05.09最近 海外小説にはまってます📚
今回は3年前に本屋大賞を受賞した作品です。
(あらすじ)
アメリカ ノースカロライナ州の美しい湿地帯が舞台になります。
湿地帯に住む、主人公の少女カイアの家族は彼女が6歳の時 、母親・姉・兄そして父親とカイアを残して次々と家を去っていきます。
残された6歳のカイアは一人で生きていかなければなりませんでした。
学校にも行けないカイアは「湿地帯の少女」ある意味悪意をもったニックネームで呼ばれることになります。
唯一助けてくれるのは 雑貨店の経営者ジャンピン夫妻(黒人)だけでした。
14才になったカイアは 家を出て行った兄(ジョディ)の友人 テイトと川で知り合います。度々会うようになった二人は恋におちいります💛
テイトは優しい少年で 無学なカイトに文字や知識を教えます。
ところがテイトが大学生になりカイトの側を離れることになります。
頻繁に戻ってくると約束してくれたテイトでしたが・・・
テイトはカイトとは住む世界が違うということで 約束を反故にしてしまいます。
傷心のカイトに現れたのが 町きってのプレイボーイ チェイスでした。
ところがそのチェイスも他の女と婚約してしまい カイトは再び一人になります。
数年後 チェイスの他殺死体が見つかります。
町の人々は当然 カイトを疑います。
チェイスを殺害したのはカイトなのでしょうか?
終盤 舞台は法廷になります。
弁護士トムが奮闘します。
はたしてどんな結末が待っているのでしょうか!!
貧困・差別・高慢・孤独・純情・良心・征服欲・嫉妬・慈悲〜あらゆる感情がカイトの成長物語が美しい自然を背景に せつなくストーリは展開します。
名作です。
涙腺が自然と緩んできます。
そして 驚愕のラスト!
このラストは必要だったのか・・・他のレビューで取りざたされてましたが私はこのラストがあるからこそ 本のタイトル「ザリガニの鳴くところ」の意味が分かるのでないかと思います。
余談:テイトはやはりカイトを忘れられず 彼氏チェイサーがいるにもかかわらず 会いに行く場面 その時のカイトの言動がすごいです!チェイサーもクズですが このテイトも・・・(詳細は本を読んでください)
WENTZ BOOK REVIEW 18「その女 アレックス」
2024.04.12海外本は、人物名がカタカナであること、各々の国の文化・慣習等が異なること、日本語訳者の感性解釈の違い等で、読むことに敬遠しがちになります。
この本の作者ピエール・ルメートルはフランス人です。
評判になったミステリーでもあったので思い切ってチャレンジしました!
(あらすじ)
主人公アレックスは独身30歳の美女です。
夜道を歩いているところを待ち伏せされて誘拐されます。その後 廃屋に監禁され酷い仕打ち(ここまでするか!特に 鼠に対するトラウマが生じそうです🐭)を受けることになります。
誘拐拉致現場を目撃した一般人の通報で パリの警察は捜査を開始するのですが、警察は被害者の身元がわからない。アレックスもなぜ自分が拉致されたのかわからない。
重苦しい時間が経過する中 ついに警察は監禁場所を見つけ出すのですが・・・
このミステリー久々の当たりでした🎯
中盤から終盤へ怒涛のドン返しが続きます。
捜査をする警察関係者も皆が魅力的です。
彼らが最後に下した結論
「真実より正義」
あまりにも日本的すぎます😊
詳しい顛末はぜひ本書を読んでください!
一気に読めてしまします♬
WENTZ BOOK REVIEW 17「方舟」
2024.02.27去年ミステリー小説界の話題を独占したこのミステリー本・・・一日で読み上げました💦
怪しげな地下建築物に取り残された10人の男女。脱出方法を試みるもいきなり10人のうちの1人が殺害される。
地震によって出入り口が大岩でふさがれこの大岩を取り除くには誰かひとり犠牲にならなければならない状況下で 残りの9人は殺害者に犠牲になるべく犯人捜しを始めるのですが・・・時が流れる中第2、第3の殺人事件が起こります。
主人公の「僕」の従兄が探偵役として謎を解いていくのですが・・・
胸糞悪い意外などんでん返しが待ち受けています💀
私の採点は100点満点の78点。
良質なミステリーであることは間違いありません。
文章のいたるところに伏線が仕込まれています。
しかしながら、この犯人出来すぎ😊
地震は突発的なことなのですが その時点で犯罪計画を構築するとは並の才能ではありません! うちの会社に欲しい人材ですね♬
このミステリーが白眉なのは 犯罪動機です。
ヒントは画像の帯を読んでいただければわかります📚
私の知能指数が180あれば 犯人と同じことをやってたでしょう😊
WENTZ BOOK REVIEW 16「名も無き世界のエンドロール」
2023.12.08行成薫のデビュー作です。
男女の三角関係(男2・女1)を題材にした小説、アニメ、映画は切なくなりますね。
この作品もそのパターンです。
幼馴染のマコト(ドッキリ好きなやんちゃもの地頭が良い)、キダちゃん(びびりの野球少年 仙人ともいわれる)の通う小学校にヨッチという女の子が転校してきます。
中学・高校と三人は楽しい三角関係を続けていくのですが・・・・😢
最初ラブコメディーかなと思いましたが サスペンスです。
内容重いです。
私が一番胸が詰まった場面は 高校3年のとき 朴念仁のキダちゃんはヨッチに「好きだ」と告白します(押しボタンのある信号機の前で)
そのあとのヨッチの言葉に 涙腺が緩みました😢
男女の三角関係を扱った映画のなかでアランドロン、ジョアンナシムカス、リノヴァンチュラが出演したフランス映画「冒険者たち」は強く心に残っています。
ジョアンナシムカスが 男前アランドロンそしてワイルドで粗忽なリノヴァンチュラどちらを選ぶか・・・(実際映画を観てください)
男女の三角関係〜ハッピーエンドになることはほとんどありません。
誰かが傷つきます(場合によっては3人とも)
「名も無き世界のエンドロール」映画化もされてたようです。
ミステリーとしてはそれほどではありませんが 3人の個性がとても良いです。
マコトのドッキリに必ずひっかかるキダちゃん~良いキャラです♬(うちの会社で働いてたら良かったのに・・・💦)
なぜ 名前がカタカナなのか?
読んでいくうちにわかります。
この本のタイトルにヒントが!
3人の他に リサという金持ち令嬢が登場しますが 犬を車で轢いてもほったらかしにする巨乳ゲス女です👹(轢かれた犬がこの作品の大きな伏線です)
この三角関係も定石通り ハッピーエンドになりません!(ネタバレご無礼🀄)
感情を表に出さないキダちゃんが、本の中で一度だけ涙を流します😢なぜ泣いたのか?読む人によって解釈はまちまちになると思います。
良い本とはこんなものですよ😊
久しぶりに考えさせるホットな本に出合いました。
WENTZ BOOK REVIEW15 「中山七里の御子柴弁護士シリーズ」
2023.07.18ミステリー小説家 道尾秀介と並んで好きなのが 中山七里です📚
彼は数々のシリーズもの書いていますが 特にお気に入りは「御子柴弁護士シリーズ」です。
リーガルサスペンスもので 御子柴弁護士は多額の報酬のためなら 有罪の被告人でも容易く無罪か執行猶予にします。
なぜ多額の報酬を求めるのか・・・それは御子柴が14歳の時に犯した事件が大いに関わってきます。
その事件のモチーフは、実際に神戸で起こって世間をかなり騒がせた児童連続殺害事件です。
御子柴が少年院から出所して弁護になるまでの過程は サイドストーリとして断片的に 本書で語られています。
この主人公に対し どのような感情移入するか。
読み手としてはそこが一番のポイントです。
猛暑日が続いていますが 頭を冷やすにはもってこいのシリーズかもしれません。
しかも どんでん返しの帝王 中山七里です。
どんな結末が待ち構えているのか・・・そこも楽しみのひとつですね😊
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