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WENTZ BOOK REVIEW №37「アリアドネの声」著:井上真偽

2026.07.08
WENTZ BOOK REVIEW №37「アリアドネの声」著:井上真偽

<あらすじ>

障害者支援都市のセレモニーの最中に 三重苦(見えない・聞こえない・話せない)の女性が地下4階に一人取り残される。

女性を救うためドローンを使うのだが・・・

<登場人物>

○高木春生:ドローンを取り扱うベンチャー企業に勤める青年。

      少年時代に兄を死なせたと思いこんでいる。

      博美の本能的な危険回避に多少の疑念はいだくが 皮膚で

      危険を感じていると判断する。

○春生の兄:中学時代に春生と共に洞窟を探検中に海で溺死する。

      口癖は「無理だと思ったら そこが限界

○中川博美:三重苦の障害者。知事の姪っ子。障害者支援都市のアイドル。

      30半ばの地味な女性です。

○韮沢粟緒:春生の高校時代の同級生。偶然に再会する。ちょっと横柄。

○韮沢碧:粟緒の9歳の妹。失語症。セレモニーの会場で2回も行方不明になる

○伝田志穂:中川博美の通訳兼介助士。

○花村佳代子:春生の会社の先輩。姐御肌。

○我聞:春生の会社の先輩。普段は冴えないがテクニックは秀逸。

○火野:消防士長。博美の救出を陰から春生を支える。

○コバッシー:暴露系 ユーチュウーバー。救出劇を詳細を自前のドローンを使い

       情報を盗む。その救出経緯から博美の障害は嘘でないかとSNSで

       拡散する。

○アリアドネ:春生が操るドローン。振動と膚感で博美に接触。取り付けられた

       紐で博美を安全シェルターに誘導するが 途中トラブルで

       視覚機能と聴覚機能を失う。

       アリアドネは元々ギリシャ神話に登場する女神で 迷宮に迷い込ん

       だ英雄を救うため手玉の糸を渡し 脱出をたすけます。

       転じて「迷宮から導く女性」になりました。

登場人物の紹介に どんでん返しのヒントがあります。

どのようなどんでん返しなのか?

実際に読んでみてください。

(ミステリー中級者程度なら 結末はわかるかもしれません)

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №36「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」著:奥田英明

2026.06.19
WENTZ BOOK REVIEW №36「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」著:奥田英明

精神科医 伊良部一郎が精神的な悩みを持つ患者たちを目茶苦茶な処方で 結果的には治してしまうとんでもない短編集です。

尖端恐怖症の893屋さん

視線恐怖症で自意識過剰な女性コンパニオン

あそこが勃ちっぱなしの陰茎強直症の記者

イップスでスランプに陥ったプロ野球選手

作品の内容が以前のネタでないかと悩み 心因性嘔吐症になった女流作家

メール依存症で 発情期真っ盛りの高校生

様々な精神疾患の方々が登場します。

この伊良部さん普通ではありません。

イラストにあるように肥満症のマザコンで 注射を打つことに快感を覚える・・・はっきり言って変態です!

しかし どの患者さんも不思議と毎回訪れ注射を打たれながらも、心が解放されていきます♪

この伊良部!名医なのか?ヤブなのか?

あと 助手の看護師 マユミちゃん~あまりしゃべらないけど スタイルの良い巨乳の美女です💛

どの短編も面白いので 頭を空っぽにしたいとき お勧めします☺

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №35「フェルマーの最終定理」著:サイモン・シン

2026.05.26
WENTZ BOOK REVIEW №35「フェルマーの最終定理」著:サイモン・シン

最近話題にされた本を続けざまに読みましたが、読後に感じるフラストレーションは最高値にまで達しました。

そして 今回手に取った本📚

数学界における最大の謎といわれた「フェルマー定理」が解き明かされるまでの350年という長い歳月のなかで挫折し続けた天才数学者たちの熱い物語です。

これがフェルマーの最終定理です!

350年以上も前 フランスのピエール・ドゥ・フェルマーが残した定理。

その後、レオンハルト・オイラー、エヴァリスト・ガロア、女性数学者のソフィー・ジェルマン幾多の数学者たちが立ち向かった難問でした。

そして

この難問に突破口を開いたのが日本の数学者 谷山豊と志村五郎です。

若くして自死した谷山(左)と親友の志村

楕円曲線とモジュラー曲線という相反するもの橋渡しを予想しました。

1993年 その予想にヒントを得て 最終的にフェルマーの最終定理を証明したのが イギリスの数学者アンドリュー・ワイルズでした。

こんな定理証明したからどうなるの?

数学に興味のない我々から見たらそう感じます。

この本は数学的な内容もありますが 350年にわたる多彩な数学者を登場させることで 一大抒情詩(ロマン)を展開させています。

中学生程度の数学の知識があれば6割くらいは理解できます✌

この定理が証明された大きな意義!

これがこの本の主題になります。

この問題が350年前に発生してから数学界・幾何科学の分野、暗号解読、5次方程式、背理法などなど・・・様々な分野の発展に派生しました。

そしてAI進化への貢献にもつながってきました!!

分厚い本ですが 意外とスラスラ読めてしまいます。

ひょっとしたら~数学に目覚めるかもしれませんよ☺


この本で一番感銘をうけた言葉があります。

日本人数学者の谷山豊と志村五郎。

志村は典型的な秀才タイプで綿密な裏づけのもとで失敗をしないタイプ。

谷山はその反対で おおざっぱって間違いも多い。しかし親分肌で後輩の面倒見もよいタイプ。

谷山の死後 志村は叙懐しています。

『谷山はたくさんの間違いを犯す。それはたいてい正しい方向に間違っていた。私はうらやましく思い 真似しようとしたがまったくダメだった。そしてわかったのは、良い方向に間違いを犯すことは非常に難しいということだった』

志村は盟友 谷山の死をずっと後悔しました。

いつも破天荒な谷山の心の闇を理解できず、彼が求めていたものを何ひとつ与えられなかったことを・・・

谷山は婚約者を残しガス自殺をします。

そしてその婚約者も その後谷山の後を追うようにガス自殺しました。

数学では心の闇は解明できなかったのですね😢

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №35「爆弾」著:呉 勝浩

2026.03.24
WENTZ BOOK REVIEW №35「爆弾」著:呉 勝浩

この本を手にしたとき、偶然にもアメリカがイランに爆弾やミサイルを撃ち込ん出る最中でした。

<あらすじ>

傷害事件で警察に連行された風体のあがらない中年男が、取調中突然霊感が閃いたと爆弾爆破を予言する●~*

酔ったおっさんの戯れごとと相手にしない警察。

ところが予言した時刻に爆発が発生!物語は緊迫した心理戦、頭脳戦へと展開していく。


スズキタゴサクと名乗る容疑者は第2、第3の予言を繰り返す。

彼の言葉から爆発物の場所を推理する、警視庁の清宮や類家。

はたして、警察はタゴサクの犯罪を止められるか!?


逮捕時から饒舌に自説を展開する多弁なタゴサク。

彼が捜査責任者の清宮に問いかける

「人間の命ってみんな平等でしょうか?」

「みんな心のどこかで命の値踏みをしてませんか」

清宮は否定するのだが、第3の爆破予言の際、幼稚園に爆弾が仕掛けられてると推理した類家は、該当地区の幼稚園から全ての関係者を避難させるのだが、爆発したのは該当地区にあったホームレスの集まる炊き出し広場だった・・・

そして、タゴサクは清宮に問いかける。

「死傷したのが幼稚園児じゃなくて、ホームレスだったから心の中でほっとしてるんじゃないですか?」

映画もアカデミー賞を受賞しました

多少ネタバレになりますが、タゴサクの犯行動機はしっかりと解明されずに物語は終わります。

ある意味、警察側の敗北かもしれません。

社会と人間の闇の部分(格差社会・偏見・SNSの拡散問題etc)を代弁するためにスズキタゴサクという怪物が突如あらわれたと言うべきでしょうか。

ミサイルが飛び交う現実的な国際状況と予告通りに都心が爆発するフイックションの世界・・・怖い世の中ですね。

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №34「踏切の幽霊」(著:高野 和明)

2026.02.07
WENTZ BOOK REVIEW №34「踏切の幽霊」(著:高野 和明)

<あらすじ>

元大手新聞記者だった松田が主人公。

2年前に最愛の奧さんを無くし 失意のまま新聞会社を辞めて、今は女性雑誌のしがない記者。

そんな彼が取材してるのは下北沢にある第3踏切に出没する若い女性の幽霊👻

決まって午前1時3分におでましになります。

取材を重ねる松田・・・浮かび上がったのは1年前に踏切近くで殺された一人の痩せた若い女性。

犯人は逮捕されたものの(犯人はチンピラやくざ)この女性の身元は分からずじまいで捜査は終了します。

松田はこの女性の身元と、 殺された女性は致命傷を負ったはずなのにかなり距離のある踏切まで歩いた謎を調べていきます。

そして

戦慄と感涙の真実が!!

ホラー小説であるものの、人間ドラマya

社会派ミステリーの比重が多い小説です。(キャバクラの裏側、悪徳代議士の収賄、田舎の閉塞性、etc)※次期総理を目指すこの代議士かなりのクズです。

わずか数行であらわになる女性の悲劇的人生😢(殺された理由も悲惨の一言💦)

そして松田と幽霊とのラストシーン。

なかなか面白い小説でした😊

山元哲也
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