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WENTZ BOOK REVIEW №39 「時生」著:東野圭吾

2026.09.04
WENTZ BOOK REVIEW №39 「時生」著:東野圭吾

先日 東野圭吾さんが他界されました。

惜しい方を失ったと感じています。

東野さんの『秘密』『流星の絆』『加賀恭一郎シリーズ』が特にお気に入りです。

今回レビューしました「時生(トキオ)」SF的なファンタジー作品です。

<あらすじ>

宮本拓実の一人息子 時生は、15歳で難病を患い 17歳で死の淵にいます。

病院で拓実は妻に20年前に出会った青年「トキオ」のことを語ります。

20年前の拓実は無職で ホステスの早瀬千鶴に食べさせてもらってる(いわばヒモ)短気ですぐに暴力をふるうどうしようもない若者でした。

そんな時出会った トキオ。(トキオは拓実の遠い親戚だと言います)

ひょんなことで一緒に住み始めますが 、突然 拓実の恋人千鶴は書置きを残し拓実の元から去っていきます。

拓実とトキオは 千鶴を探しに大阪ミナミへ向かいます。

拓実は千鶴と結婚したかったと語るですが

「千鶴さんとは結婚しないよ」

トキオがぽつりとつぶやきます。

物語は企業犯罪もからんで 千鶴はある組織に拉致されタイトな展開になります。

千鶴を追ううちに 拓実は全く知らなかった出生の秘密を知ることになります。

※ ※ ※ ※ ※ ※

トキオは20年後の時生であることは間違いありません。

トキオは やさぐれた父親(拓実)を救おうとする姿は健気です。

また 脇を固める登場人物も魅力的で 普通の作家が描いたら陳腐な作品になりそうな設定を 東野さんは見事に名作にしてしましました。

東野圭吾さん~ご冥福をお祈りいたします

拓実はトキオと出会ってわずかな日々で 多くの別れを経験します。

ネタバレになりますが 千鶴との別れが一番心に響きました。

もう東野さんの小説が読めなくなるとは・・・😢

山元哲也
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WENTZ BOOIK REVIEW №38「此の世の果ての殺人」著:荒木あかね

2026.08.07
WENTZ BOOIK REVIEW №38「此の世の果ての殺人」著:荒木あかね

一言~面白い小説でした☺

小惑星「テロス」が半年後 日本の熊本県に衝突して

人類滅亡するであろうと発表された、半年後の九州福岡県太宰府市が舞台です。

主人公ハルは新社会人になったばかりの女性で 半年後人類が滅亡するのに車の教習所に通い続けています。

その教習所の教官が イサガワで、元警察官で正義感の強い30半ばの女性です。

路上教習の途中 車のトランクの中から滅多刺しにされた中年女性の遺体を発見します。(いじめ専門の弁護士 日隅美枝子)

二人は事件の真相を追っていきます!

途中 他の殺人事件にも遭遇し 同一犯人の可能性が浮上します。

人類が滅亡してどうせみんな死ぬのに 殺人事件が起きたのでしょうか?

また、犯人探をしても警察機能や法律機関が麻痺してるのに なぜイサガワは事件の真相を追うのでしょうか?

了道兄弟のキャラが印象的です🎵

人類滅亡の発表後 日本国内の人間は、海外に逃亡するか、自殺するか、それとも座して死を待つか、そのような状況でした。

実際、ハルの母親は失踪し、 コンビニ経営者の父は首をくくり、弟の成吾は引きこもりになりました。


事件を追う中 二人はいろいろな人々と出会い 一緒に真相を追う仲間とも出会います。

人類滅亡を前にして 人間は正気を保つことができるのでしょうか。

途中 人間の本性があからさまになる場面もあります。

そして

驚愕の終盤!

意外な展開が待ちうけています。

真犯人は中盤過ぎくらいにだいたいわかります。

しかし このミステリーの核は「なぜ殺したのか?」

そして 主人公ハルは「なぜ車の免許をとるのか」

もう一人の主人公イサガワは「なぜ犯人探しをするのか」

人類滅亡の瞬間を前に 美しい夜空を見上げながらこの物語は終わります。

感動の一冊です!

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №37「アリアドネの声」著:井上真偽

2026.07.08
WENTZ BOOK REVIEW №37「アリアドネの声」著:井上真偽

<あらすじ>

障害者支援都市のセレモニーの最中に 三重苦(見えない・聞こえない・話せない)の女性が地下4階に一人取り残される。

女性を救うためドローンを使うのだが・・・

<登場人物>

○高木春生:ドローンを取り扱うベンチャー企業に勤める青年。

      少年時代に兄を死なせたと思いこんでいる。

      博美の本能的な危険回避に多少の疑念はいだくが 皮膚で

      危険を感じていると判断する。

○春生の兄:中学時代に春生と共に洞窟を探検中に海で溺死する。

      口癖は「無理だと思ったら そこが限界

○中川博美:三重苦の障害者。知事の姪っ子。障害者支援都市のアイドル。

      30半ばの地味な女性です。

○韮沢粟緒:春生の高校時代の同級生。偶然に再会する。ちょっと横柄。

○韮沢碧:粟緒の9歳の妹。失語症。セレモニーの会場で2回も行方不明になる

○伝田志穂:中川博美の通訳兼介助士。

○花村佳代子:春生の会社の先輩。姐御肌。

○我聞:春生の会社の先輩。普段は冴えないがテクニックは秀逸。

○火野:消防士長。博美の救出を陰から春生を支える。

○コバッシー:暴露系 ユーチュウーバー。救出劇を詳細を自前のドローンを使い

       情報を盗む。その救出経緯から博美の障害は嘘でないかとSNSで

       拡散する。

○アリアドネ:春生が操るドローン。振動と膚感で博美に接触。取り付けられた

       紐で博美を安全シェルターに誘導するが 途中トラブルで

       視覚機能と聴覚機能を失う。

       アリアドネは元々ギリシャ神話に登場する女神で 迷宮に迷い込ん

       だ英雄を救うため手玉の糸を渡し 脱出をたすけます。

       転じて「迷宮から導く女性」になりました。

登場人物の紹介に どんでん返しのヒントがあります。

どのようなどんでん返しなのか?

実際に読んでみてください。

(ミステリー中級者程度なら 結末はわかるかもしれません)

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №36「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」著:奥田英明

2026.06.19
WENTZ BOOK REVIEW №36「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」著:奥田英明

精神科医 伊良部一郎が精神的な悩みを持つ患者たちを目茶苦茶な処方で 結果的には治してしまうとんでもない短編集です。

尖端恐怖症の893屋さん

視線恐怖症で自意識過剰な女性コンパニオン

あそこが勃ちっぱなしの陰茎強直症の記者

イップスでスランプに陥ったプロ野球選手

作品の内容が以前のネタでないかと悩み 心因性嘔吐症になった女流作家

メール依存症で 発情期真っ盛りの高校生

様々な精神疾患の方々が登場します。

この伊良部さん普通ではありません。

イラストにあるように肥満症のマザコンで 注射を打つことに快感を覚える・・・はっきり言って変態です!

しかし どの患者さんも不思議と毎回訪れ注射を打たれながらも、心が解放されていきます♪

この伊良部!名医なのか?ヤブなのか?

あと 助手の看護師 マユミちゃん~あまりしゃべらないけど スタイルの良い巨乳の美女です💛

どの短編も面白いので 頭を空っぽにしたいとき お勧めします☺

山元哲也
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WENTZ BOOK REVIEW №35「フェルマーの最終定理」著:サイモン・シン

2026.05.26
WENTZ BOOK REVIEW №35「フェルマーの最終定理」著:サイモン・シン

最近話題にされた本を続けざまに読みましたが、読後に感じるフラストレーションは最高値にまで達しました。

そして 今回手に取った本📚

数学界における最大の謎といわれた「フェルマー定理」が解き明かされるまでの350年という長い歳月のなかで挫折し続けた天才数学者たちの熱い物語です。

これがフェルマーの最終定理です!

350年以上も前 フランスのピエール・ドゥ・フェルマーが残した定理。

その後、レオンハルト・オイラー、エヴァリスト・ガロア、女性数学者のソフィー・ジェルマン幾多の数学者たちが立ち向かった難問でした。

そして

この難問に突破口を開いたのが日本の数学者 谷山豊と志村五郎です。

若くして自死した谷山(左)と親友の志村

楕円曲線とモジュラー曲線という相反するもの橋渡しを予想しました。

1993年 その予想にヒントを得て 最終的にフェルマーの最終定理を証明したのが イギリスの数学者アンドリュー・ワイルズでした。

こんな定理証明したからどうなるの?

数学に興味のない我々から見たらそう感じます。

この本は数学的な内容もありますが 350年にわたる多彩な数学者を登場させることで 一大抒情詩(ロマン)を展開させています。

中学生程度の数学の知識があれば6割くらいは理解できます✌

この定理が証明された大きな意義!

これがこの本の主題になります。

この問題が350年前に発生してから数学界・幾何科学の分野、暗号解読、5次方程式、背理法などなど・・・様々な分野の発展に派生しました。

そしてAI進化への貢献にもつながってきました!!

分厚い本ですが 意外とスラスラ読めてしまいます。

ひょっとしたら~数学に目覚めるかもしれませんよ☺


この本で一番感銘をうけた言葉があります。

日本人数学者の谷山豊と志村五郎。

志村は典型的な秀才タイプで綿密な裏づけのもとで失敗をしないタイプ。

谷山はその反対で おおざっぱって間違いも多い。しかし親分肌で後輩の面倒見もよいタイプ。

谷山の死後 志村は叙懐しています。

『谷山はたくさんの間違いを犯す。それはたいてい正しい方向に間違っていた。私はうらやましく思い 真似しようとしたがまったくダメだった。そしてわかったのは、良い方向に間違いを犯すことは非常に難しいということだった』

志村は盟友 谷山の死をずっと後悔しました。

いつも破天荒な谷山の心の闇を理解できず、彼が求めていたものを何ひとつ与えられなかったことを・・・

谷山は婚約者を残しガス自殺をします。

そしてその婚約者も その後谷山の後を追うようにガス自殺しました。

数学では心の闇は解明できなかったのですね😢

山元哲也
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