WENTZ BOOK REVIEW 26「名探偵に薔薇を」
2025.04.24
城平 京による2段構成(メルヘン小人地獄/毒杯パズル)のミステリーです。
<あらすじ>
この事件の発端は多数のマスコミに送られた「メルヘン小人地獄」という残酷な童謡から始まりました。
出版会社社長 藤田克人の13歳の娘鈴花の家庭教師をしている大学生 三橋荘一郎は駅のホームで不審な男に「小人地獄」のことを尋ねられます(このくだり 横溝正史・江戸川乱歩調です)
その数日後、鈴花の母親 藤田恵子の惨殺死体が発見される。
続けて一人の会社員(国見)も惨殺されるのですが この二つの殺人事件 さきの童謡になぞられたような犯行でした。
不安になった三橋は 旧知の名探偵瀬川みゆき(容姿端麗な美女💛)に事件解決を依頼します。瀬川は名探偵と言われるだけあって 見事に事件を解決します。

そして2年後 藤田邸で新たな殺人事件が起こります。被害者は鈴花の新しい家庭教師山中冬美です。死因は毒殺でした。それに使われた毒薬が「小人地獄」という薬だったのです。
再度 事件解決に現れた名探偵瀬川!
今回も真相を解明するのでしょうか!!
1件目の事件は2件目の事件の見事な伏線になっています。
個人的にこの作品のような真犯人設定は好きではありません。
しかし この大掛かりな伏線回収は感心させられます。
結末は・・・心地よいものではありません。また瀬川が真犯人とその周辺にかき乱され 第1部のような名探偵としての切れがなくなります本のタイトル「名探偵に薔薇を」の意味が意味深で名探偵はかくも・・・孤高であり孤独であり、悩み多きものなのでしょうか!!(かく言う 私名探偵ウエンツも同じです^^)
もうじき薔薇の季節が訪れます。🌹
薔薇を鑑賞しながらの読書お勧めします♪
WENTZ BOOK REVIEW 25「ジョーカーゲーム」
2025.04.09
最近消化不良な本ばかり読んでました。
そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのが「ジョーカー」です。
作者は 柳広司。
<あらすじ>
昭和10年代(今から100年前太平洋戦争前夜の頃) 日本陸軍中佐結城の提案により 秘密裏に設立されたスパイ養成学校のD機関。
そこで鍛えられた精鋭たちが難事に立ち向かう連作小説です(エピソードは5作)
どの作品も傑作なのですが 表題作「ジョーカー」と「XX(ダブルクロス)」が秀逸でした。
スパイ活劇というよりも ミステリー色が強く、頭脳戦・心理戦といった展開で思わずうなりたくなります。
結城が語るスパイの条件「殺さない」「死なない」「とらわれない」
その意味が分かった時 心に衝撃が走りました。
魔王と言われた冷徹な結城がラストでみせた行動は 彼も人間なんだと思いました。

この本のネタは60年以上も前の日本映画「陸軍中野学校」をモチーフにしています(市川雷蔵主演)
私も10代の頃鑑賞しましたことがあるので直ぐに納得しました。登場人物の名前もだぶったりしています。
設定が100年前なのですがこの本 設定の古さを感じません。それどころか昨今の混迷する国際状況(関税貿易戦争)だからこそぜひ読んでいただきたい本です。
WENTZ BOOK REVIEW 24 「鑑定人 氏家京太郎」
2025.03.13
安定した大どんでん返しの巨匠 中山七里の新しいシリーズです。
最近物価の高騰で文庫本も高くなりました😢
しかし頭の栄養に読書は欠かしてはいけませんね。
<あらすじ>
3人の若い女性が次々と残忍な方法で殺害されます。
警察は財務官僚の息子でネクロフィリア(とても和訳できません!自主規制です)の那智貴彦を逮捕します。しかし、彼は3件目の犯行は否認します。那智の弁護人でヤメ検の吉田は 旧知で元科捜研の職員で現在は民間の科学捜査鑑定所を経営する氏家京太郎(女性の扱い方が下手な44才)に再鑑定を依頼します。
しかし その過程で警視庁科捜研(特に元同僚の黒木)や谷端検事(吉田弁護士とは犬猿の仲)・警察の邪魔が入り 氏家の会社も荒らされたり 職員の橘奈翔子が襲われたりと大きな壁が氏家の前に立ちふさがります。
県警の高頭冴子などの数少ない協力を得て 地道な活動の結果 意外な事実が明らかになります。

ミステリーファンなら真犯人や犯行動機は中盤で予想つきます。
(那智の動機はサイコだが 3人目殺害の真犯人の動機は許せないかな。この犯罪動機の対称も深く考えさせられます)
この作品の面白いところは謎解きよりも
国家権力と民間との対峙。
検事と弁護士との腹の探り合い。
鑑定に対する意地のぶつかり合い。
加害者の親と 被害者の親。
そして犯人の心の闇。
結果的には後味のかなり悪い作品です。
グロよりもこの先ほとんどの人が報われないという余韻を残して物語は終わります。
このシリーズはまだ続きます。
次の作品にも期待です♬
WENTZ BOOK REVIEW 23 「夜のピクニック」
2024.10.05
<あらすじ>
地方都市の進学高校では毎年「歩行祭」という80kmを昼夜問わず歩く続けるという行事をおこなってます。
高校3年生の甲田貴子はある決意を胸に秘めて このイベントに臨みます。
それは,今まで話したこともないクラスメイトの西脇融と話をすること・・・
となると 甘酸っぱい青春恋愛小説💝と思うのですが 違います💦
物語はこの二人と 二人のそれぞれの親友たちが絡み合い24時間の時間が過ぎていきます。
貴子と融との間に何があるのか?その謎は物語前半で明らかになるのですが・・・
物語は盛り上がるとことがそれほどなく 淡々と時は過ぎていきます。
しかし 終盤なぜかしら胸が熱くなってしまいます😢
融の親友 戸田忍が融に向かって発した言葉が特に印象的でした。
「ノイズ(雑音)だっておまえも作ってるんだ。ノイズはうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃならないんだ」
読後、学生時代の友人は一生かけがえのない存在だと再認識させられました。
また、この本の作者は個々の心理感情や 風景光景の描き方が上手い!
たまにはこういう本も良いですね😊

WENTZ BOOK REVIEW 22「博士の愛した数式」
2024.08.17
長いお盆休み中に何冊か本を購入しました。
本命の本の隣にポツンと置かれた薄い文庫本が今回レビューします「博士の愛した数式」です。
<あらすじ>
主人公はシングルマザーで家政婦の「私」です。
彼女は60過ぎの数学博士のもとに家政婦として派遣されます。
この博士 昔交通事故をおこしてしまい 8時間経過すると新しい記憶をなくしてしまいます。
そんな博士と私 そして博士から√(ルート)と名付けられてしまった私の息子との交流が淡々とつづられていく物語です😊

博士は1975年の頃の阪神タイガースファンで特に江夏を気に入ってました。
なぜ江夏なのか・・・それは江夏の背番号「28」
28の約数を 足していくと28になるのです♬(1+2+4+7+14=28)
博士はそれが美しいと🎵(頭の良い方の感性がわからない(笑))
読後~じんわりと胸が熱くなってきます😢
数式しか愛せない博士の魂が開放されていく過程が素晴らしいです。まるで難しい数式を解くがごとくです。
映画化もされています。
是非 両方とも体験されはいかがでしょうか!
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